「アクセスはかなり伸びてるんですよ」
最初に相談を受けた時、Web担当の方はそう言っていました。
実際、数字だけ見ると悪くありません。展示会後の指名検索も前年より増えているし、広告経由の流入も動いている。サービスページの閲覧数も伸びていて、GA4だけ見ると、“ちゃんと改善している会社”に見えます。
だから最初の頃は、社内にも期待感があります。
「ようやくWebが動き始めたかもしれない」
そんな空気になる。
ただ、BtoBのWeb改善って、ここからが結構厄介なんです。
完全に反応ゼロなら、まだ判断しやすい。問い合わせが全く来ないなら、「何かがおかしい」と方向転換もしやすい。
でも実際には、“少し動いている”。
問い合わせもゼロではないし、商談にも一定数つながっている。そのうえアクセス数やCV数だけ見ると改善傾向に見えるため、社内でも「方向性自体は間違っていないんだろう」という空気が徐々に強くなっていきます。
ただ、その頃から営業側では、少し違う感覚が出始めています。
「最近、相見積もりっぽい案件増えてません?」
最初はそんな小さい違和感です。
でも半年くらい経つと、その違和感がだんだんハッキリしてくる。
提案数は増えているし、問い合わせ件数もゼロではない。だから数字だけ見ると悪くない。ただ、以前より“決まる感覚”が薄い。しかも広告費は増えているため、営業側では「忙しい割に利益残ってなくない?」という空気が徐々に強くなっていきます。
「提案だけ増えてる気がする…」
「正直、広告費だけ増えて、結局紹介案件の方が利益高いですよね…」
この辺りから、社内でも少しずつズレが出始めます。
Web側は、
「でも数字は改善しています」
と言う。
営業側は、
「いや、でも現場かなりしんどいですよ」
になる。
経営側は、
「結局、成果出てるの? 出てないの?」
になる。
しかも厄介なのが、誰も完全には間違っていないことです。
数字は確かに改善している。
でも現場は苦しくなっている。
だから止められない。
おそらく、その頃にはもう、“アクセスを増やすこと”自体が目的化し始めていたんだと思います。ただ、その時点では、社内の誰もそこまでは言い切れなかった。
実際、その会社も最初は「問い合わせを増やそう」と言っていたはずなのに、途中からは「PVは伸びている」「広告のクリック率は改善している」という話が中心になっていました。
もちろん数字を見ること自体は悪くありません。
ただ、後から振り返ると、“問い合わせが増えない理由”を考えるより、“改善している数字”を探す時間の方が長くなっていたんですよね。
しかも、こういう状態って、その場にいると意外と気づきません。
むしろ、「ちゃんと改善している感覚」の方が強い。
だから止められない。
今振り返ると、おそらくあの頃にはもう、“問い合わせを増やす施策”ではなく、“比較対象として見られる回数を増やす施策”へ少しずつ変わってしまっていたんだと思います。
でも、その時点では誰もそこまで整理できていなかった。
BtoBのWeb改善で本当に怖いのって、“全く成果が出ない状態”じゃありません。
「改善しているように見えることで、本当の問題が見えなくなる状態」
だったりします。
「ホームページは見られている」が、逆に判断を鈍らせることがある
例えば広告でも、全然反応がなければ止めやすい。SEOでも順位が全く動かなければ、「やり方変えた方がいいかもしれない」と判断しやすい。
でも実際のBtoBでは、アクセスは増えているし、サービスページも見られている。資料請求も少し増えていて、問い合わせもゼロではない。だから、“完全に否定できない”。
その結果、方向修正が遅れます。
しかもその頃って、GA4のレポートは割と綺麗なんです。PVは伸びているし、CV数も前年より増えている。だから会議でも、「全体としては改善傾向ですね」という話になる。
ただ、営業現場では別の空気が流れ始めています。
「また比較案件か…」
「これ、結局価格勝負になるやつですよね」
「最近、“とりあえず問い合わせしました”感の案件増えてません?」
最初は営業側の感覚論として流されます。
でも、その状態が半年、1年と続くと、徐々に利益率が崩れていく。問い合わせ数自体は増えているため現場は常に忙しい。ただ、その割に利益が残らず、営業側でも「頑張ってるのにラクにならない」という疲労感が徐々に強くなっていました。
しかも厄介なのが、その頃でも会議では“悪い数字”がそこまで出てこないことです。
アクセスは伸びている。
CVもゼロじゃない。
広告レポートも改善傾向。
だから、「完全に失敗しているわけではない」という空気が残る。
でも現場だけは、少しずつ疲弊していく。
正直、その頃には営業側もちょっと半分あきらめ始めていたと思います。
問い合わせは来る。
でも決まらない。
しかもWeb側は「数字は改善しています」と言う。
だから現場では、「まあ、もうそういうもんなんじゃないですか…」みたいな空気が少しずつ出始めていました。
今振り返ると、問題は“問い合わせ数”ではなかったんですよね。
問い合わせ前の時点で、すでに“価格比較されやすい状態”が出来上がっていた。
でも、その頃はまだ、「アクセスを増やせば、いずれ改善するはず」という期待の方が強かった。
実際には「比較された瞬間」に負け始めている
これ、アクセス解析ではかなり見えにくいです。
でも営業側は、なんとなく感じています。
「提案内容、そんな悪くないと思うんだけどな…」
「でも最後、価格で決まってる感じあるよな…」
実際、ホームページを見ると、別に悪くない会社は多いんです。デザインも普通に整っているし、サービス説明もある。導入事例もゼロではない。だから一見すると、“ちゃんとしている会社”に見える。
ただ、比較された瞬間に埋もれます。
なぜかというと、「結局この会社は何が強いのか」が最後まで見えてこないからです。
例えば、提案力が強いのか、技術力なのか、業界特化なのか、対応速度なのか、その軸が曖昧なまま比較検討へ入ってしまう。すると相手側は、“違いが分からない会社同士”を並べて比較することになるため、最後は価格で見られやすくなります。
実際、「なんとなく良さそうだったので問い合わせました」という状態で入ってくる案件ほど、最後は価格比較で終わりやすかったりします。本来なら、問い合わせ前の段階で「この会社は〇〇が強い」という認識を作っておく必要があるのに、その軸が弱いまま比較検討へ入るため、営業側では毎回ゼロから価値説明をやり直すことになります。
その結果、提案工数だけが増え、徐々に価格競争へ巻き込まれやすくなっていく。
しかも問い合わせ数自体はゼロじゃないので、Web改善そのものを否定しづらい。
だからさらに、
「広告もっと増やす?」
「SEO記事追加する?」
「SNS強化した方がいい?」
みたいな迷走が始まる。
正直、その頃には営業側もちょっとイラついていたと思います。
問い合わせ数は増えている。
でも決まらない。
しかもWeb側は「数字は改善しています」と言う。
だから余計に、現場では「じゃあ何が悪いんだよ…」みたいな空気が少しずつ溜まっていく。
たぶん、本当はもっと早い段階で、「アクセス数は増えているのに、なぜ利益が残らないのか?」を整理するべきだったんだと思います。
でも実際は、“数字が改善している安心感”の方が強くて、そこへ踏み込み切れなかった。
実は「社内共有」で止まっている会社がかなり多い
ここ、かなり見落とされます。
BtoBって、問い合わせ担当者が一人で決めるケース、ほぼありません。
実際には、
「この会社どうですか?」
という社内共有が発生しています。
その時、ホームページが“説明資料”として弱いと止まります。
例えば、導入事例が抽象的だったり、比較材料が不足していたり、導入後イメージが見えなかったりすると、担当者自身が社内説明しにくい。特にBtoBは、「自分が失敗したくない」だけではなく、「社内で変な提案をしたくない」という心理も強いため、“なんとなく良さそう”だけでは最後の一押しになりません。
すると、
「一応候補には入れておきます」
で終わる。
実際、この“一応候補”かなり多いです。
しかも厄介なのが、アクセス解析には出ないことです。
だからWeb側は気づきにくい。
営業側だけが、
「なんか最後で消えるんだよな…」
という違和感を持っている。
ただ、その違和感って綺麗に数字へ出ません。
だから余計に迷走します。
おそらく問題は、“アクセス数そのもの”じゃなかったんだと思います。
でも、その時点では社内の誰も、そこまで整理できていなかった。
「Web改善してるのに苦しい会社」で起きていたこと
アクセス数もCV数も前年より伸びていて、レポート上は「改善傾向」と言える状態だったため、社内でも「方向性自体は間違っていないんだろう」という空気が強くなっていました。
だから誰も、「失敗」とは言わない。
でも1年後。
残っていたのが、増え続ける広告費と、疲弊した営業と、増えた提案工数でした。しかも案件単価は下がり気味で、「忙しいのに利益が残らない」という状態だけが強くなっていた。
さらに厄介なのが、その時点でもGA4だけ見ると、そこまで悪く見えないことです。
だから止められない。
「もう少し続ければ変わるかもしれない」
「今止めるのはもったいないかもしれない」
そんな空気が残る。
でも後から振り返ると、おそらく問題は“アクセス不足”じゃなかった。
比較された時に、選ばれる理由を作れていなかった。
ただ、それってPVレポートだけ見ていても、なかなか気づけないんですよね。
本当に見るべきなのは「アクセス数」ではなく「比較突破率」
BtoBで重要なのは、PVではありません。
順位だけでもない。
実際、最後まで価格比較へ巻き込まれにくい会社って、「この会社、なんか他と違うな」が問い合わせ前の時点で伝わっていることが多かったりします。
つまり、本当に見るべきなのは、
・比較された時に強みが伝わるか
・営業が説明しやすいか
・社内共有しやすいか
・価格以外の判断軸を作れているか
・問い合わせ前に信頼形成できているか
だったりします。
逆にここが弱いと、どれだけ広告を増やしても、どれだけSEOを強化しても、“比較対象の一社”で終わりやすい。
例えば製造業系のBtoBサイトでよくあるのが、
「高品質」
「短納期対応」
「豊富な実績」
だけで終わっているケースです。
もちろん間違ってはいません。
ただ、競合もほぼ同じことを書いています。
その状態で比較されると、発注側からすると違いが分からない。
結果として、
「じゃあ価格で比較するか」
になりやすい。
逆に、価格以外で選ばれやすい会社は、“強みの見せ方”がかなり具体的です。
例えば「短納期対応」が強みなら、
・最短何日対応なのか
・どの工程を内製化しているのか
・急ぎ案件の対応フロー
・実際に短納期対応した事例
・「なぜ短納期が可能なのか」
まで説明している。
すると発注側は、
「この会社、本当に対応早そうだな」
と判断しやすい。
ここ、かなり重要です。
BtoBって、“強みを書けば伝わる世界”じゃありません。
「相手が比較しやすい形まで落とし込んで、初めて強みになる」
んです。
例えば、「技術力が強い」もかなり危険な言葉です。
多くの会社が書いている。
でも、発注側からすると、
「で、何が違うの?」
になりやすい。
だから本当に必要なのは、“技術力”という抽象ワードではなく、
・どんな難案件を対応したのか
・他社で断られた案件をどう解決したのか
・どこで精度差が出るのか
・どんな失敗を防げるのか
を具体化することです。
例えば、
「板厚◯mm以上の加工で発生しやすい歪みを、独自治具で抑制」
みたいに書かれていると、同業の担当者ほど、
「あ、この会社ちゃんと分かってるな」
になります。
逆に、
「高品質な加工技術」
だけだと、他社との差が見えない。
あと、かなり重要なのが、
“誰向けの強みか”を分けること
です。
ここ、多くの会社が曖昧です。
例えば同じ「提案力」でも、
技術担当向けなら
・加工可否判断
・精度面の提案
・工数削減提案
・図面改善提案
を見せるべきです。
購買担当向けなら
・納期安定性
・対応速度
・トラブル時対応
・量産体制
を見せた方が刺さる。
経営層向けなら
・コスト改善
・品質安定
・リスク低減
・長期供給体制
の方が重要になる。
つまり、“強み”って一つではなく、
「誰が比較するか」で見せ方を変えないと伝わらない
んです。
ここを全部「高品質」「迅速対応」でまとめてしまうと、結局誰にも深く刺さらない。
実際、価格競争へ巻き込まれにくい会社って、ホームページを見ると、
「この会社、どんな人が何を重視して見るか」
がかなり整理されています。
例えば、
・技術者向けに加工ノウハウ記事を出している
・購買向けに納期対応フローを見せている
・経営層向けに改善事例を見せている
みたいに、“比較ポイント”を先回りしている。
だから問い合わせ前の時点で、
「この会社は価格だけで比較する会社じゃないな」
という空気が作られている。
あと、BtoBでかなり効くのが、
「失敗回避コンテンツ」
です。
発注側って、基本的には“成功したい”より、“失敗したくない”が強い。
だから例えば、
・よくある加工トラブル
・発注時の注意点
・図面段階でのミス
・納期遅延が起きる原因
・他社切替時の失敗例
みたいなコンテンツって、かなり信頼形成に効きます。
例えば、
「この図面だと量産時に反りが出やすいです」
みたいな内容を出している会社は、
“売り込み感”より、
「ちゃんと現場分かってる会社」
として見られやすい。
結果として、価格比較へ巻き込まれにくくなる。
BtoBのホームページ改善って、本当はデザイン改善だけの話じゃありません。
重要なのは、
「価格以外で比較できる材料を、問い合わせ前にどれだけ渡せているか」
です。
逆にそこが弱いと、どれだけアクセスを増やしても、“違いが分からない会社”として比較されやすい。
そして、“違いが分からない会社同士”の比較って、最後は価格になりやすいんですよね。
無料Web戦略診断で「どこで止まっているのか」を整理しませんか?
アクセスはある。
広告も動いている。
でも、問い合わせが増えない。
この状態、実際には、
・比較検討
・社内共有
・営業接続
・強み設計
・導線設計
・投資判断
のどこかで止まっているケースがかなりあります。
しかも厄介なのが、“少し改善しているように見える”ため、問題が見えにくいことです。
Web戦略診断LAB.では、
・なぜ問い合わせにつながらないのか
・比較段階でどこで負けているのか
・営業とWebがどこでズレているのか
・今どこを優先改善すべきか
を整理する無料Web戦略診断を行っています。
「アクセスは増えてる。でも、なんか苦しい」
そんな違和感が出始めている場合は、一度構造から整理してみてください。


