SEOを始めて半年くらい経つと、会社の中に少し変な空気が出始めることがあります。
最初の頃は、割と前向きなんです。
GA4を見ると、自然検索流入が少しずつ増えている。今までほとんど動かなかったグラフが右肩上がりになっていくので、「ちゃんと伸びてるじゃん」という感覚が出る。SEO会社のレポートにも、「表示回数増加」「順位改善」「流入前年比152%」みたいな数字が並び始めるので、少なくとも“悪い状態”には見えません。
それまで紹介中心だった会社ほど、この変化には期待します。
「ようやくWebから案件取れる流れ作れそうですね」
みたいな話も出始める。
実際、この頃は社内もそこまでギスギスしていません。むしろ、「今までWebちゃんとやってなかったし、やっとスタートライン立てた感あるよね」くらいの空気すらある。
ただ、厄介なのはここからです。
半年くらい経った頃から、営業側で少しずつ違う感覚が出始める。
しかも、その違和感がかなり曖昧なんです。
「問い合わせ件数は増えてるんですけど…なんか前より決まりにくくないですか?」
ただ、この時点では誰も強く言い切れません。
なぜなら、SEO自体は伸びているからです。
「悪化してる感じがしない」が、一番長引く
本当に危ないのって、“完全に失敗してる状態”じゃないんですよね。
むしろ、
「なんか改善してる気がする」
状態の方が長引く。
例えば、以前支援したBtoB製造業では、SEO開始から約1年で自然検索流入が月4,000PV→24,000PV近くまで増えていました。
記事数も150本以上。
SEO会社から見ても、かなり順調な部類だったと思います。
ただ、その頃から営業会議の空気が少しずつ変わり始めていました。
以前なら、
- 加工相談
- 納期相談
- 見積前提
- 導入相談
みたいな、“発注前提感”のある問い合わせが多かったんですが、SEO流入が伸び始めた後は、
- 相場だけ知りたい
- 一旦資料だけ
- 他社比較中
- 社内検討用
みたいな問い合わせがかなり増えていたんです。
最初、営業側もそこまで問題視していませんでした。
「まぁ問い合わせ増えたばっかりだし」
くらいの感じです。
ただ、その状態が数ヶ月続くと、だんだん営業側の疲弊感が強くなっていく。
案件数は増えているので、当然対応数は増える。ただ、受注率は落ちていくので、“忙しいのに利益が増えてる感じがしない” 状態になる。
これ、営業やってる人はかなり分かると思います。
しかも厄介なのが、GA4だけ見ると改善してるように見えることです。
- PVは伸びている
- 順位も上がっている
- 問い合わせ件数も増えている
だから、「SEOは悪くない」という空気が残る。
この辺りから、会議でも少しずつ話が噛み合わなくなっていきます。
営業側は、
「なんか案件薄い気がする」
マーケ側は、
「でもSEOは伸びてますよね」
社長は、
「で、利益は?」
みたいな感じで、少しずつ会話がズレ始める。
ただ、この頃って、誰も自信持って断言できないんですよね。
SEOで「見込み客」が増えるとは限らない
SEOって、「アクセス増加=見込み客増加」みたいに語られることがあります。
もちろん、完全に間違いではないです。
ただ実際のBtoBは、そんな単純じゃない。
例えば、「ホームページ制作」みたいなキーワードひとつ取っても、中身はかなり違います。
情報収集層
- 相場だけ見たい
- まだ依頼時期未定
- 社内共有用
比較検討層
- 3〜5社比較
- 稟議資料探し
- 実績比較
受注直前層
- 納期確認
- 実績確認
- 具体相談
本当は全部違うんですが、GA4上では全部「流入」です。
だから、“誰が増えているか”を見ないままPVだけ追うと、途中からかなりズレます。
実際、先ほどの会社でも増えていたのは、“比較前提”の流入でした。
つまり、“見込み客”が増えたというより、“比較対象として並べられる回数”が増えていた。
ただ、この辺りって最初かなり分かりにくいんです。
問い合わせ件数自体は増えているので、「一応成果は出てるよね?」という空気もある。ただ営業側では、「なんか案件薄くない?」という感覚が溜まっていく。
でも、その時点では誰も原因を断定できません。
営業力なのか。
価格なのか。
サイトなのか。
競合なのか。
会議でも、なんとなく話が噛み合わなくなっていく。
SEO成功で、「比較競争」が始まる
これ、最近かなり増えています。
以前は、
「そもそも流入不足」
が多かった。
ただ最近は、
SEO成功
↓
比較流入増加
↓
相見積もり増加
↓
営業工数増加
↓
価格競争増加
↓
受注率低下
みたいな流れに入る会社がかなり多い。
しかも、この状態って、最初かなり原因が分かりにくいんです。
実際、その会社でも最初は、
- 営業力の問題?
- 単価高い?
- サイト弱い?
- 提案不足?
- SEOの質?
みたいな話になっていました。
しかも、問い合わせ件数自体は増えているので、「完全失敗」とも言い切れない。
だから止めづらい。
そのまま数ヶ月くらい経ってしまう会社、結構あります。
途中から、「何を信じればいいのか」が分からなくなる
マーケ側は、
「SEOは伸びています」
と言う。
実際、それは間違っていない。
営業側は、
「でも、なんか決まりにくい」
と言う。
これも間違っていない。
社長は、
「で、結局これ儲かってるの?」
となる。
ただ、この時点では誰も断言できません。
SEOが悪いのか。
営業なのか。
価格なのか。
サイト導線なのか。
しかも、SEOって“少しずつ伸びる”ので、途中で止めづらい。
完全に失敗していれば、まだ方向転換できます。
でもSEOって、
- 順位少し上がる
- 流入増える
- 問い合わせもゼロではない
ので、「もう少し続ければ成果出るかも」が止まらない。
しかも途中から、ちょっと心理が変わるんですよね。
最初は「成果出るかも」で続けてたのが、途中から、
「ここで止めたら、今までの1年無駄になる気がする」
へ変わっていく。
この頃になると、営業側はSEOレポートをあまり見なくなります。
理由は単純で、“PV増えても、自分たちがラクになってる感覚が無い” からです。
ただマーケ側は数字を見ているので、「SEO悪くないと思うんですが…」となる。
すると、誰も止める判断ができなくなる。
あとから振り返ると、あの頃ズレ始めていたのって、アクセスより “社内の判断軸” だったのかもしれません。
実際には、「利益に繋がりにくい客」が増えている
多くの会社は、「もっとアクセス増やせば解決する」と考えます。
ただ実際には、“欲しい案件”だけ増えていないケース がかなりある。
例えば、以前支援したIT系企業では、問い合わせ件数は約1.7倍まで増えていました。
ただ、商談化率は43%→19%まで低下していた。
しかも営業人数は変わっていないので、“忙しいのに利益が残らない”状態になっていたんです。
そこで実際に見直したのが、
- どのKWから受注しているか
- どのページ経由が成約率高いか
- 導入事例閲覧有無
- 滞在時間
- 比較ページ閲覧率
でした。
すると、受注率が高い層にはかなり共通点があった。
- 業界特化KW
- 導入事例閲覧
- 料金ページ閲覧
- 指名検索含む
みたいな動きです。
逆に、
- 記事1ページだけ
- 滞在1分未満
- CTA未接触
は、ほぼ情報収集層だった。
ここを見ないままPVだけ追うと、途中からかなりズレます。
成果が出る会社は、「アクセス数」ではなく“利益が残る案件”を見る
逆に、途中から改善する会社は、見る数字が変わります。
「何人来たか」
ではなく、
「どんな案件が増えたか」
を見るようになる。
例えば、以前支援した会社では、「ホームページ制作」みたいな広いキーワードを減らし、
- 製造業 ホームページ制作
- BtoB 採用サイト
- 工場 SEO 問い合わせ増えない
みたいな、“受注条件に近い検索意図”へ寄せ始めました。
するとPV自体は30〜35%くらい減りました。
実際、途中で「本当にPV減らして大丈夫?」みたいな話も出ていました。
ただ、その代わり、
- 商談率
- 受注率
- 平均単価
- 営業効率
はかなり改善した。
社長が途中で言っていたのが、
「やっと“アクセス”じゃなく、“利益”の話できるようになった感じですね」
という言葉でした。
「アクセスはあるのに売上が増えない」は、“集客不足”ではなく“判断ズレ”
SEOが悪いわけではありません。
ただ、PV増加だけでは利益にならない。
特にBtoBでは、
- 誰が流入しているか
- 比較競争に巻き込まれていないか
- 営業が疲弊していないか
- 利益が残っているか
まで見ないと、“SEO成功”が逆に会社を迷走させることがあります。
実際には、
“アクセス不足”ではなく、
“改善してる感覚によって、方向修正が遅れている”
会社もかなりあります。
アクセスは増えている。
でも、なんか苦しい。
もし今そんな感覚があるなら、「もっと集客する」より先に、“どこで利益が削られているのか”を整理した方がいい段階かもしれません。
今のWeb施策、一度整理してみませんか?
もし今、
- 問い合わせは増えている
- SEOも伸びている
- でも、なぜか利益が残らない
- 「この方向で合ってるのか」が少し曖昧
そんな状態なら、一度整理した方がいいタイミングかもしれません。
実際には、
- 比較だけされる流入
- 利益に繋がりにくい問い合わせ
- KPIズレ
- 営業との分断
など、“アクセス数”では見えない問題が起きているケースも少なくありません。
まずは、今どこがズレ始めているのか整理してみてください。


